研究成果の発表 -日本土壌肥料学会-


■日本土壌肥料学会 2010年度北海道大会 (開催日 平成22年9月7日〜9日)

LCA 手法による圃場整備に関わる温室効果ガス発生量の評価

○高木優次・南部雄二 [(財)北海道農業近代化技術研究センター]
  三上英樹・長岡範之 [北海道農政部]
  永田  修 [北海道農業研究センター]
【発表要旨】
 農業農村整備事業による圃場整備の目的は農業生産性の向上であり、用・排水施設等の整備、圃場の排水性改善は、作物生産の安定化、作業機械による作業性の向上等の省力化に寄与する。営農では農作業の省力化による温室効果ガス(GHG)の削減が期待されるが、工事段階では、建設機械の稼働等によるGHGの排出が懸念される。本研究は、圃場整備の実施によるGHG負荷の増減の実態を評価する。
 北海道空知管内の水田地帯の圃場整備地域をモデル地区(受益面積336.9ha)とし、LCA手法を用いてGHG排出の試算を行った。システム境界は土地改良事業計画書で想定している範囲、ライフサイクルは38年(総合耐用年数)、評価対象とするGHGはCO2、CH4、N2Oとした。排出区分は圃場整備、施設維持管理、営農、土壌とし、圃場整備や施設維持管理、営農からの排出量の算定は、燃料、資材、固定資本ごとの物量や金額に対応する排出原単位を乗じた。土壌からの排出量の算定は既往値を用いた。
 圃場整備からのGHG排出量は、モデル地区全体で9,280t-CO2となった。また、整備前と比べ整備後で減少するGHGは、施設維持管理からの排出が作業低減分として年間110t-CO2、営農からの排出が作業性向上分として年間155t-CO2、土壌からの排出が汎用耕地化に伴う水田土壌のメタンガスの排出量の低減分として年間2,112t-CO2〜4,468t-CO2(田畑輪換20%〜100%)となり、土壌からの排出の減少割合が大きかった。
 ライフサイクルにおける圃場整備後のGHG減少量は、土壌の減少量を考慮しない場合は161t-CO2であり、圃場整備がGHG排出量削減に寄与すると考えられた。また、田畑輪換20%の場合は16,804t-CO2、100%の場合は100,420t-CO2減少し、田畑輪換によりさらに削減される可能性が示された。
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