第51回 農業土木学会北海道支部研究発表会での研究発表
 平成14年9月11日に開催された、第51回農業土木学会北海道支部研究発表会で、調査研究業務の成果を報告いたしました。当財団からは、3課題の発表を行いました。
 

モデルほ場調査に基づく北海道内の畑地灌漑の分析(1)
−灌水の実態と土壌水分ポテンシャルの関係−

(財)北海道農業近代化技術研究センター 
専修大学北海道短期大学 
北海道立中央農業試験場 
北海道農政部 
 ○小林 英徳   南部 雄二
   山上 重吉
   竹内 晴信
   杉本 信行
【講演の概要】
 北海道農政部では、地域の栽培作物、気象条件や土壌条件と営農形態に適合した畑地灌漑技術を確立し、地域に普及させることを目的として「畑地かんがい推進モデルほ場設置事業」を実施してきた。今回は、2001年までに実証調査を完了した4地区の調査データをもとに、各地区の灌水の実態やほ場の乾燥度合いなどの基礎的な分析結果と適切な灌水にむけての課題点を検討した。



ほ場整備事業における反転均平工法の確立に向けて(2)
−工法の確立と普及にむけた施工試験と手引書の作成−

(財)北海道農業近代化技術研究センター 
(独)北海道開発土木研究所 
北海道空知支庁北部耕地出張所 
深川土地改良区 
 ○南部 雄二   山崎 祐樹
   藤森 新作
   大崎 里志   瀧本 和生
   佐々木新一
【講演の概要】
 平成10年度から、北海道空知支庁北部耕地出張所管内において、ほ場整備事業(大区画化)のコスト縮減を図るため、新工法として開発した「反転均平工法」の確立に向けた施工試験及び試験施工を実施してきた。今回は、これまでに実施した工法確立に向けた施工試験の結果、及び施工水田の耕作農家の評価、工法普及に当たり作成した手引書の概要について報告する。


土壌の有機物含有量が熱伝導率に及ぼす影響

(財)北海道農業近代化技術研究センター 
帯広畜産大学 
 ○山崎 祐樹
   土谷富士夫   辻  修   宗岡 寿美
【講演の概要】
  土壌中の水分および熱移動の研究において、土壌の熱伝導率が重要な因子となっている。この研究では、有機物含有量による熱伝導率の変化を実測すると共に、Johansenモデルによる土壌熱伝導率推定式の適応性について検証した。その結果、有機物含有量の増加に伴って熱伝導率が低下する傾向がみられた。また、推定式は高有機質の土壌には必ずしも有効でなかったが、計算因子の検討により推定は可能になるものと考えられる。



用水路への土砂の流入量経時変化と水深方向の濃度分布

(財)北海道農業近代化技術研究センター 
(独)北海道開発土木研究所 
北海道開発局札幌開発建設部 
   半澤 幸博
 ○長谷川和彦  中村 和正  秀島 好昭
   横沢 伸二
【講演の概要】
 石狩川から取水する水田用水の幹線用水路において、流入土砂量増大による障害の対策検討のため、水源河川の水質及び幹線用水路の流下土砂量を調査した。用水路水深区間内での浮遊砂濃度は水路底付近で高い分布形状を示した。また、浮遊土砂量の水深方向の分布実測値は、Lane−Kalinskeの式による計算値に近いが、水面付近では実測値の方が、水路底付近では計算値の方が大きかった。用水路への日流入砂量は大きな変動を有していた。