第23回農業土木新技術検討報告会での研究発表
 平成18年10月31日に札幌市(北海道自治労会館)で開催された、第23回農業土木新技術検討報告会で、全11課題のうち、当財団から3課題を発表(関係機関との共同発表)いたしました。
 

『草地における低コスト疎水材型無管暗渠の効果検証及び
疎水材の水質浄化機能の検証について』

根室支庁産業振興部農村振興課
(財)北海道農業近代化技術研究センター
   中川 隆    ○内門 亮子
   南部 雄二    山崎 祐樹
【講演の概要】
 牧草は収益性が低く暗渠の費用対効果も低いことから、草地帯では暗渠排水が普及していない。しかし、排水性の悪いほ場は機械作業が遅れ、牧草の収量、品質も低下することから排水改良は必要であり、低コストな暗渠工法の開発が求められてきた。草地帯に適した低コスト工法を確立するため、次のとおり検証を行った。
 試験ほ場にて、無管暗渠区(疎水材のみ)と完全暗渠区(管を埋設し疎水材を投入)を設け、降雨後の排水量、地下水位の状況を観測し、無管暗渠区でも完全暗渠区と同等程度の排水機能を有することを確認する。
 また、草地帯は家畜ふん尿による河川環境への配慮も必要であることから、疎水材の水質浄化機能にも着目した。無管暗渠の断面モデル装置を使い、スラリー溶液の浄化試験を行った。分析項目はT-N、T-P、NH4-N、NO3-N、大腸菌郡数等全8項目とし、散布前の数値と比較した。


『トラフ浮上対策について(最終報告)』

根室支庁産業振興部農務課
空知支庁北部耕地出張所
(財)北海道農業近代化技術研究センター
   田村 顕仁
   千葉 貴統詞
 ○ 梅沢 直仁
【講演の概要】
  現在、北海道農業の近代化に合わせ、ほ場の大区画化や用排施設を始めとした農業施設の整備を進めている。
 この中で、比較的規模の大きい用水路においては、「浮力」による浮上被害が発生しており平成13年度より調査研究を行ってきたところである。
 前回(平成16年度)は、実証室内実験及び検証室内実験等から浮上発生メカニズムの解析と対策工の検討及び考察、更には一連のマニュアル(案)の作成までを行い中間報告を行った。
 今回は、最終報告ということで浮上対策工法を用いた現地実験とその効果検証を踏まえたマニュアル(案)の策定までを報告する。


『多孔管方式が混在する地域の畑地灌漑用水利用モデルの適正化』
〜余市郡赤井川村の事例〜

北海道後志支庁産業振興部農村振興課
赤井川村産業建設課
(財)北海道農業近代化技術研究センター
   打田 彰雄   菅原 誠二
   原   智之
 ○ 山崎 祐樹   南部 雄二
【講演の概要】
 赤井川地区は、畑地灌漑施設の整備に伴う用水利用により、露地・ハウス栽培での高収益作物が導入されている。本地区はリールマシンによる灌水が想定されていたが、高収益作物導入による集約化に対応した灌水方式である多孔管(露地・ハウス)も導入している。しかし、多孔管灌漑では、きめ細かな水管理が求められる一方で、灌水時間帯が集中するなど、配水計画上の用水利用と異なることが想定される。
本調査では、現地での露地栽培・ハウス栽培における用水利用実態を把握し、課題点を明確にしたうえで改善策を検討し、用水利用改善状況について検証した。その結果、ローテーションブロック内で利用調整することで、改善可能であることが実証された。