振興支援事業

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モニタリング情報の活用

知って得する水田の水管理

  • リアルタイムに水田の水温、水深、気象情報を知ることで、適切な水管理が可能となります。
  • 水田水温形成のメカニズムを知ることで、効果的な水管理ができ、冷害対策につながります。
  • 過去の情報を確認しながら、今年の水温等の管理に役立てることができます。
  • これまでの経験から、リアルタイム情報を活用しましょう!

日射量が多い日の水田水温上昇効果

 水田の水温は、日射量の影響を受け上昇します。
 上昇した水田水温は、日中には気温よりも高く維持されます。
 水田の水温が、用水路内の用水温より低下するのは、この例では22:00頃です。
 また、逆転して用水温より上昇する早朝に止水することで、水稲に対する保温効果が大きいことがわかります。
 夜間取水~早朝止水の場合には、掛け流しに注意が必要です。特に、水深が高い場合には、畦畔の低い部分などからオーバーフローするので、注意が必要です。

日射量が少ない日の水田水温上昇効果

 日射量の少ない日(曇天日)は、水田内の水温上昇は気温と同じ程度です。
 水田水温の上昇割合は少なく、日較差が少ないのが特徴です。
 この日は、気温低下が少なく、用水路の水温が水田水温を下回って経過しています。
 このように用水温が低いとき、水田の水深が高い場合には、取水管理を控えたほうが良いでしょう。
 水田の水深が低い場合には、必要に応じて取水することになります。

分げつ期の温度

 6月上旬から中旬は、水稲の生育期節は分げつ期に相当します。
 温度はこの期間の茎数や草丈、養分吸収等の量的拡大に関係し、この下限は12℃程度で、この温度より高いほど生育が促進され、低いと生育が停止します。
 この期間の水田温度は、茎葉による植被が少ないこともあり、日射量に対応して急速に高まり、夜間には放射により低下することから、しばしば用水温より低い場合があるものの、気温よりは高く経過します。

前歴期間~冷害危険期

 水稲は6月下旬から幼穂を地際に形成します。水田の水管理はこの時点をスタ-トに幼穂の伸長に合わせて、 1cm/日のピッチで水深を漸増し、7月上旬の冷害危険期の始めまでに水深を20cmに高めます。この水深で以後10日程度の期間を維持し、『気温より高く保たれる水温で幼穂内で発育する花粉の減数分裂や、この後の花粉の充実を図る』のが危険期の管理の骨子です。
 この時の平均水温が20℃以上であれば、不稔籾の発生がわずかとなります。

冷害危険期~目標水深20cm・20℃確保

 ここでの例は、平成16年(2004年)のものです。
 冷害危険期は、品種・育苗形式、移植時期によって数日前後しますが、7月1半旬~3半旬の期間で、この時期の天候は7月10日前後に気温が数日間15℃以下に低下したものの、水田水温はほぼ20℃をキープしたことが幸いし、花粉形成は障害を受けませんでした。

冷害危険期の用水温度作況

 近年の冷害凶作の事例では、平成4年の冷害に続き、『平成の大冷害』と称される平成5年冷害があり、この対極に平成6年の大豊作があります。
 平成4年,5年は、冷害危険期の用水温と当該用水を主に使用している市町村の作況をみると、平均用水温が17~18℃の場合に不稔歩合が高まり、作況が悪化しているのがわかります。
 一方、平成6年のような高温年では20℃を超えている場合は、不稔歩合は低く、豊作となっています。もちろん、不稔発生は用水温が直接原因となるのではなく、この用水温をベースに水田水温が形成され、用水からの取水方法や幼穂に直接接する水田の水深管理の巧拙が個々の水田の不稔発生を支配するのです。

幼穂形成期から成熟期までの水管理