北海道農業土木協会表彰事業 奨励賞
北海道農業土木協会表彰事業 奨励賞(令和7年度)
【研究業績】QGIS を用いた整備履歴蓄積作業の課題とその対応
【受賞対象者】守山耕一 氏、片桐俊英 氏、中島光 氏、辻明子 氏、西村昭彦 氏
【選考理由】
北海道では、効果的・効率的な農業農村整備事業を推進するため、農地や農業用水利施設などの整備履歴を蓄積する「農地施設保全整備情報」の整備を進めている。
また、農地や施設にかかる整備履歴が地理空間情報として「水土里情報システム(北海道土地改良事業団体連合会)」に掲載され、関係者に提供されている。
北海道では現在、GIS の作成にQGIS(無料のGIS ソフトウエア)を利用し、作成された情報の閲覧・共有には水土里情報システムを用いている。しかし、QGIS の導入がより高度なデータ作成を可能とする反面、その操作は複雑になった。全道で蓄積される情報は年間に1万件を超え、複雑化した操作を担当する関係者の負担は大きく、効率的な情報蓄積作業の構築が課題であった。
従来の整備履歴の蓄積作業は、エクセルで作成した座標情報をGIS で位置情報化したのち、別途エクセルで整理した工事諸元等を関連付け、地理空間情報とする流れであった。エクセルで作成したデータは管理担当者によって集約され、振興局単位で整理される。このとき、整備履歴蓄積作業は操作の過程が複雑であり、多くの担当者が携わるため、様々なエラーを含んだデータが混入しやすく、関係者には大きな負担となっていた。そこで、ソフトウエアが有する機能拡張の仕組みを活用し、データ作成者が工区単位で行う整備履歴蓄積作業に関する操作の単純化を目指した。
QGIS は、外部プラグインという簡易なプログラムをインストールすることで同ソフトウエアの機能を向上させることができる。このこととエクセル様式の整備により、担当者の作業工程は大幅に省略された。またエラーの混入が回避されることにより、作業負担が軽減されただけでなく、担当者以外の職員でも作業実施が可能となった。
労働環境が厳しくなる状況にあって、本報告は農業農村整備の課題解決に貢献するものとして高く評価されることから、農業土木協会賞「奨励賞」にふさわしい業績と認められた。