研究発表等の受賞
平成23年度 北海道農業土木協会表彰事業“優秀賞”を受賞 |
■優秀賞 長岡範之 氏・三上英樹 氏・高木優次 氏 課題名:「農業農村整備事業のGHG評価手法の開発」 |
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北海道農政部は、地球温暖化にともなう気候変動に対応する適応策、緩和策を検討している。具体的には、地球環境との調和に配慮する視点に立った農業農村整備を図ることを目的とした地球温暖化対策検討部会を農業農村整備技術検討会のなかに新設し、検討を進めている。この部会は3つのワーキンググループからなり、本報告は「緩和策検討ワーキンググループ」による検討内容を取り纏めたものであり、農業農村整備事業にかかる温室効果ガス(GHG)の排出実態を把握・評価し、今後の課題を検討したものである。 評価に当たっては、岩見沢市の豊里北地区をモデルし、ライフサイクノレアセスメント(LCA)手法を適用している。すなわち、従来の「環境アセスメントJは現場の工事にともなう環境への影響評価にとどまるが、資材の製造・輸送・供用等をトータルで評価する必要があるものと認識してLCA手法による温室効果ガス排出量を見積り(試算し)、事業導入の影響を検証したものである。 GHG排出量の見積りは、基盤整備にともなう排出量を工種ごとに算定し、用水路工と暗渠排水工にともなう排出量が相対的に多いことやGHGの種類を評価した。このほか、施設運営管理や整備前後での営農、作物栽培、土壌からの排出量を試算し、さらに事業の実施によって田畑輪換の進展状況が左右されるとの仮定で事業後におけるGHG排出量の経年変化を推定した。モデル地区におけるLCA試算の結果、農業農村整備事業はGHG排出量を削減し、地球温暖化緩和に寄与できる可能性を示唆した。 地球温暖化による影響を強く受ける農業や農業農村整備事業は、地球温暖化への対応が不可避であり、とりわけ事業実施に当たってはGHG排出を極力抑制することが事業の必要性を説明する上で不可欠である。 以上のように、農業農村整備事業のGHG評価手法の開発は、地球環境や地域社会の課 題解決、また公共事業の新たな評価指標の確立などに対する先駆的な取り組みとして高く 評価されることから、農業土木協会賞「優秀賞Jにふさわしい業績と認められた。 |
北海道農業土木協会賞については、こちらをご参照ください。
⇒(研究発表内容)
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