研究発表等の受賞
平成28年度 北海道農業土木協会表彰事業“奨励賞”を受賞 |
■奨励賞 谷崎謙 氏・高橋英明 氏・南部雄二 氏・赤塚僑介 氏 課題名:「農業経営シミュレーションによる畑地灌漑の導入効果 〜音更町「高倉地区」の事例〜」 |
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畑地灌漑は播種・定植直後の発芽・活着促進、および生育初期から中期の生育促進が主たる目的となる。そして、畑地灌漑の導入効果は、作物収量増および、収益増、施設の整備・維持管理にともなう費用や労働時間を含めた農業所得への波及を定量評価することで得られる。 本事案は、十勝管内の畑地濯甑モデル圏場において、畑地灌漑導入下での営農にかかるデータを収集して分析したものである。具体的には、畑地灌漑にともない新規に導入した作物が経営に及ぼした影響を検証するため、農業粗収入、農業所得、労働時間を算定し、地域の営農実態と照応させつつ灌漑効果を評価している。 モデル圃場では、コムギ、テンサイ、ニンジンへの潅水にはリール式スプリンクラ、グリーンアスパラガスには点滴式多孔管、ホウレンソウには片側散水式多孔管を用い、またリール式スプリンクラではレインガンとブームスプリンクラの2方式を導入して作物の生育状況に応じて使い分けている。モデル圃場には潅水区と無灌水区を設定して収量調査を行い、潅水効果(増収率)を検討すると同時に、畑地灌漑実施農家3戸の作業日誌から労働時間を把握した。 十勝地方で一般的な畑作4品(コムギ、マメ類、バレイショ、テンサイ)にニンジン、グリーンアスパラガス、ホウレンソウを加え、栽培面積40ヘクタールでシミュレーションを行い、農業粗収入、農業所得、労働時間を算定した。潅水の有無、加工用と生食用バレイショ、移植と直播テンサイ、そして栽培作物を組み合わせた6ケースと無灌水の2ケースからなるシミュレーションの結果、個々のケースごとに経済的・労力的な評価が得られた。 このシミュレーションを通じて、地域の営農条件に適応した実測データの活用により農業経営の基本形が構築できることを明らかにした。つまり、畑地灌漑導入時の「効果Jを様々な条件を設定したシミュレーションによって予め想定することが可能となる。 以上のように、畑地灌漑による農業経営への効果を具体的に示した本事案の成果は、農業農村の整備に関する取組みとして高く評価されることから、農業土木協会賞「奨励賞Jにふさわしい業績と認められた。 |
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