研究発表等の受賞
平成29年度 北海道農業土木協会表彰事業“奨励賞”を受賞 |
■奨励賞 中津 敬太 氏・南部雄二 氏・高木 優次 氏・赤塚僑介 氏 課題名:『泥炭土壌地域における反転均平工法の適用性調査について』 |
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区画整理工法の一つである「反転均平工法」が道営農地整備事業で実施されるようになって十数年が経過したが、近年、その施工実績がおおきく減少している。本工法は、低コストで圃場に負荷をかけないメリットがあるが、施工にプラウを使用するため、反転作業に伴い表土内に10~30%
程度の心土が混入するデメリットがある。とくに、泥炭土壌にあっては、心土混入による作物への影響に加え、不陸や地耐力の低下等への懸念が本工法の普及にブレーキをかける要因であった。 本事案は、反転均平工法が泥炭土壌地域の圃場に与える影響を定量評価し、標準工法との比較を通じて適用性を検証したものである。調査は南幌町の水田を対象とし、反転均平工法区は下部泥炭層の関係から表土扱いを20cm、標準工法区の表土扱いは25cmとして施工した。施工後の作土層の物理性は、標準工法区に比べて反転均平工法区が幾分良好な傾向を示したが、化学性に関しては両者に有意な違いは見られなかった。また、反転均平工法による心土混入率は10%以下と推定され、施工前後の均平度、地耐力が低下する傾向は認められなかった。 以上の結果は2015年における施工直後の状況であり、経年的な性状把握が必要であるとの観点から、2016年は融雪後から収穫後の期間まで調査を実施した。その結果、均平度のほか土壌化学性、地耐力、減水深、水稲生育状況は標準工法区に比べて劣るものではなかった。これは、施工前の圃場状況精査によって泥炭混入を最小限に抑えることができたことによるものと考えられ、営農上の問題は生じないことを明らかにした。 本事案は、低コストな反転均平工法が泥炭土壌地域にあっても標準工法に劣らない仕上がりになることを事業実施者に再認識させるとともに、農業者の理解を促すことに寄与するものであり、農業農村整備事業の実施に関する報告として高く評価されることから、農業土木協会賞「奨励賞」にふさわしい業績と認められた。 |
⇒(北海道農業土木協会ホームページ)