研究発表等の受賞
平成30年度 北海道農業土木協会表彰事業“奨励賞”を受賞 |
■奨励賞 山田 聖弘 氏・杉山 朋寛 氏・伊藤 次郎 氏・高木 優次 氏・西村 昭彦 氏 課題名:『石狩振興局北部地域における「地下かんがい普及推進の取組」』 |
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集中管理孔による地下灌漑は、水稲栽培の水管理、転作作物の補水に活用できるため、栽培管理上有効な技術であるが、地下灌漑実施の判断や給水量の調整は水稲と転作作物で異なること、また、土壌条件や旧暗渠の影響、補助暗渠の施工など、個別の圃場条件によって地下水位の上昇具合が異なるため、集中管理孔による地下灌漑は普及していないのが現状である。
今後、新たな営農技術として地下灌漑を普及させるためには、栽培作物と土境条件などの地域特性に対応した手法の確立と効果の明確化を通じて農家が十分に理解し、実施可能な技術と認識してもらう必要がある。 本事案は、石狩振興局北部地域にモデル圃場を設定して現地調査を実施するとともに、地域への普及啓発活動を実施した内容を取りまとめたものである。 現地調査では、転作圃場と水稲栽培圃場を対象として集中管理孔による地下灌漑の効果を検証した。 転作圃場での小麦栽培では2割の増収効果を認め、干ばつ時における減産防止効果が期待できた。 一方、水稲栽培圃場では、取水から落水まで地下灌漑による湛水深管理が可能であり、総取水量は地表取水と同等であった。また、水温管理の面では、地下灌漑の方が水温低下はなく、優位であった。 地域への普及啓発活動では、セミナーを2回、参加者合計204名、現地研修会も2回、計73名の参加を得て実施したほか、管外からのモデル圃場視察もあり、生産者は地下灌漑を取り巻く関心の高さを実感したようである。 調査期間中は多雨傾向にあったため、転作圃場での地下灌漑による補水の必要性は小さかったにもかかわらず、セミナ一等を通じて「引き続き利用する」、「今後利用したい」という意向が示されたことから、地下灌漑の普及啓発に効果があったと認められる。 以上の報告内容は、特殊な事例ではあるものの現場技術として示唆に富む報告であり、農業農村の整備に関する取組みとして高く評価されるととから、農業土木協会賞「奨励賞」にふさわしい業績と認められた。 |
⇒(北海道農業土木協会ホームページ)