第37回地域活性化推進事業 講演会のご報告
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(財)北海道農業近代化技術研究センターでは、公益事業の一環として地域の農業関係者をはじめ地域住民の方々を対象に、農業や食にかかわる講演会・シンポジウム、文化活動を企画し、地域活性化推進事業として実施しております。 |
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1.概要 ○日 時:平成15年11月10日(月)13:30〜15:30 ○会 場:プラザホテル板倉 ○入場者:185名 |
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2.内容 |
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−ご講演の要点は次のとおりです−
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講演中の八木氏 |
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3.講演概要 ○会社設立と主な業績 ・日経新聞の自主流通米の記事に興味を持ったのが、会社設立のきっかけになった。 ・これまでに、秋田こまちのパッケージのデザインなどを手掛けた。また、コメのペットボトル販売を手掛けたことがある。 ○米消費、ブランド米、ブレンド米 ・年間消費量は、830〜840万トンと言われている。 ・米の消費は年間13万トン減少している。 ・今年は冷夏なので、米が売れた。価格は5kgで2,000円以下が通常で、1,800円程度が常識である。特売では、きらら397が1,200円、あきたこまちが1,350円程度である。 ・ブレンド米の推奨は、産地にとって痛し痒しである。 ・流通業界は、ブレンド米を売るのが夢である。一方、消費者には単品のイメージが強く、ブレンド米に消費者がついてこない。 ・ブレンド米は、おいしさ、価格のメリットが求められ、生産履歴は単品ほど重要視されていない。しかし、ブランド(銘柄米)の思想が消えてしまう。 ・一方、単品だとトレーサビリティにつながり、ブランド米の維持には、トレーサビリティが重要となる。 ・トレーサビリティの対応は生産者にとって面倒であるが、量販店、生協等は帳簿を求める厳しさがある。トレーサビリティは、ブレンド市場への対抗になる。 ・米穀協会はトレーサビリティの取り組みを開始した。その内容は、精米タンクの追跡が可能である一方で、費用が膨大、かつ全てのタンクの用意が必要である。費用が増大し、流通業界はやってられないのが実態である。 ○米生産、米流通の現状と可能性〜北空知産のイメージアップ ・H15産は、12月までだらだら価格が下がるであろう。その後、備蓄米が出るのではないか。(と講演会時点では予測されましたが、実際には思わぬ高値となりました。その要因について、「公表されている作況指数より実際はもっと低いのではないかという卸の意識がある。また、一部の大手卸が大量に購入したためである。」と、講師の八木氏は分析しています。) ・無洗米の技術により、精米技術が向上した。H8、H9産の古米でも、古米臭がなくなり、十分に食べられるようになる。その一方で、備蓄米の扱いには表示(古米)の問題がある。 ・備蓄米は100万トン必要と言われている。不作は続くものなので、H16の転作は緩和されるのではないか。 ・現在の米生産は、補助ありきとなっている。稲作経営者会議、3,000戸中、実働は700戸。その中で、生産調整金に頼らないというところがある。 ・府県はコシヒカリ一辺倒である。いつまでもコシヒカリかということで、新たな品種が登場している。秋田、めんこいなはリピーターが多い。新潟、こしいぶきもそうである。新たな売れ筋をみつけることが必要である。 ・きらら397は一世を風靡した。 ・今は、H14の食味が悪いこともあり、リピーター率は低く、大手スーパーで苦戦している。 ・ササニシキは、多収に走って米質を落としてしまい、ササニシキの世界は終わりつつあるが、現在は、50代以上の世代にリバイバルとなっている。多収から8俵代に戻したが、現在は作り手が減少している。H15は、田植えが遅いことで冷害の被害がなく、良好であった。 ・本州の稲作では、1戸200haの米専業農家がいる。米主体の地域で、1戸当たり50haの地域もある。コスト縮減が徹底している。 ・米の流通は、米問屋の寡占状態にあり、自主流通米価格は目安程度であてにならないのが実態である。 ・巨大卸、神明が誕生し、入札価格より安いという実態がある。 ・米は、今後先物市場となる可能性がある。価格補償がなくなると先物になり、食糧法改正で、米流通はビジネスになる。 ・外食、業務用では用途別の契約栽培の意識が高まっている。 ・生協の栽培基準は、関西でスタートする予定である。7生協の3,000tについて、JAを探している。 ・コメ卸の数は320あるが、実際には30〜40で良いのではないか。 ・入札に参加している卸は、110程度。上位、20社で40万トンを占める。 ・ホクレンのパールライスは元気が良い。精米能力が決めてである。 ・東北のパールライス工場の稼働率は、3割程度ではないか。 ・産地精米だと、運賃が1割減、他のコメが混ざらない。産地精米は、表示上でも有利である。 ・精米日表示の問題がある。今までは、袋詰めした日が精米日であった。実際の精米日の表示になると、問屋がまいる。 ・JAS法で精米表示の基準ができそうである。消費者協会で要求している一方で、問屋は抵抗している。 ・卸のメーカー化により、卸ブランド(ブレンド米)が流通している。 ・自主流通で単品価格がわかるため、ブレンドした方が高く売れる。 ・銘柄に頼ったブレンド米のブランド化からオリジナルブランド化に移行していく。 ・弁当のように、温かいご飯は品種を選ばないので、コストダウンが可能である。 ・冷えて出すには、ある程度良い米でないとだめ。 ・大量炊飯に合う米質、合うブレンドがある。 ・炊飯まで手掛けると、米は6兆円産業である。 ・現在、大手商社が力を入れている。 ・特に、伊藤忠(ファミリーマート)が力を入れており、ご飯の世界をおさえている。伊藤忠ライスは抜群である。 ・無洗米の店舗売りは、まずいのではないかとの話もあり、伸びていない。乾式の無洗米機は、古米の臭いとりになる。 ・消費者の購買ニーズは、品種優先である。北海道米となると、ニーズはガタッと落ちる。深川産米として、売り込んではどうか。クリーンなイメージが強い。 ・アメリカでは、農産物の容器売り、計り売りにより、販売まで一貫したトレーサビリティが確立されている。流通過程が担保されている。オーガニックだと、5割高くなる。 ・トレーサビリティに水質分析、土壌分析を実施している地域はまだない。北海道米の武器として、トレーサビリティの記帳だけではなく、ぜひ実施してはどうか。 |
<地域活性化推進事業>
・第32回(平成10年度) |
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